親権と監護権
子どものいる夫婦が離婚する場合、夫婦のどちらが親権者となるかが問題となることは少なくありません。
このページでは、離婚に関するテーマのなかから、親権と監護権についてご説明いたします。
■親権とは
親権について、離婚する夫婦の一方が子どもと一緒に暮らすことのできる権利だと理解されている方もいますが、これは間違いです
親権とは、親権者が成人していない子どもの利益のために行使することができる権利のことをさします。
未成年の子どもは、社会経験が浅く、自分自身の権利も十分に守ることが出来ないと考えられており、未成年を保護するために親権者が親権を行使することとされているのです。なお、2022年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
親権を詳しくみると、身上監護権と財産管理権の2種類があります。
身上監護権とは、時には子どもを叱りながら育てていく権利のことをさし、財産管理権とは文字通り子どもの財産を管理する権利のことをさします。
夫婦が婚姻関係にある間は、夫婦が共同で親権を行使することとなっています(民法第818条第3項)。一方で、夫婦が離婚する場合には、子ども1人につき1人の親権者を定めなければならず、協議離婚において唯一の必要書類である離婚届に親権者の記入がなければ、離婚届は受理されません。
■親権者の決め方
夫婦が、離婚すること自体や離婚の条件について自由に決定することができる協議離婚の場合には、夫婦の合意によって親権者も決定することができます。しかしながら、自由に取り決められるために、夫婦どちらが親権者となるかについて問題となることは多くあります。
協議により親権者が決定しない場合は、次に夫婦関係調整調停、いわゆる離婚調停によって話し合う方法が考えられます。離婚調停では、調停委員が夫婦の間に入る形で話し合いが進められるため、夫婦だけで直接話し合うよりも、冷静に、かつ、客観的な意見も取り入れて、話し合うことができます。ただし、離婚調停も最終的には夫婦間の合意によって離婚やその条件を決定するという点では、協議離婚と変わらないため、合意できない場合は調停不成立として終了してしまいます。
離婚調停を行っても結論が出ず、民法第770条に定められた離婚事由がある場合には、離婚裁判を提起しその判決によって親権者を定めるという方法もあります。このとき、養育費についても同様に裁判の判決によって定めることができます。
なお、一般的には母親が親権者となることが多いと認識されていますが、離婚調停や離婚裁判でも、子どもが乳幼児期である場合を除いて、父親が親権者とされるケースは多くあります。
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